『サイバーパンク2077』をプレイした人は 覚悟してほしい

それが『エッジランナーズ』という作品だった

すなわち“サイバーパンク”の道を歩んだ少年の物語を追う、10話構成のオリジナルアニメーションシリーズ。

ちなみに、『サイバーパンク2077』のジョブ(ミッション)名は、さまざまな楽曲のタイトルが付けられていたが、『エッジランナーズ』もその流儀に則って、各話のサブタイトルが楽曲から付けているようだ。

しかし『エッジランナーズ』では、そんなサイバーサイコ側の視点も描かれる。人間性が失われていく感覚、正気を失っていく過程は新鮮で、この状態をゲーム側に逆輸入してみてほしいと思ったほどだ。

ヒロインのルーシーはパンキッシュな見た目で、ゲームに登場したジュディを連想するし、仲間のキーウィはどこかT-バグを思わせる雰囲気がある。こういった人物を要所要所に配置することでも、『サイバーパンク』の世界であるという感覚を得やすくなっていると感じた。

というように、見どころをあげだしたらキリはないが、感想を一言で表すなら、「これが“サイバーパンク”だ!」とブン殴られるような、そんな錯覚。まさに命を賭して境界ギリギリを走り続ける……そんな刹那的な生き方に魅力を感じてしまう。それが『エッジランナーズ』という作品だった。

『サイバーパンク2077』をプレイした人は、覚悟してほしい。『エッジランナーズ』では、最初から最後まで「これ知ってるぞ!」が連続する。

また、デイビッドがサイバーパンクとして活動するにあたり、彼の仲間となる人物たちも数多く登場する。とりわけ重要な位置を占めるのは、彼をサイバーパンクへと導くきっかけとなったネットランナー(ハッカー的な存在)のルーシーと、デイビッドの師とも呼べる存在となるメインだ。この2人の存在はデイビッドにとって特別なものとなり、彼の行動指針へとつながっていく。

――監督を務める今石洋之よりメッセージ サイバーパンクは大好きなジャンルですが、オリジナルの作品としてはなかなか作れない題材だったので、今回CD PROJEKT RED と一緒に制作できることが嬉しい。ゲームの完成度が素晴らしい分、ゲームのファン、アニメのファンの両方を納得させるのは簡単でないが、だからこそのやり甲斐を感じているし、制作も楽しめている。期待を裏切らず越えていけるように、精一杯取り組んでいきたいと思っています。

タイガークロウズやメイルストロームといったギャングに加え、ゲームに登場したキャラクターたちがカメオ的に出演しているなども嬉しい。これはファンサービスだけではなく、デイビッドがサイバーパンクとしての名声を得てきたということの描写でもあると思う。それこそアフターライフなんて、新米には入ることすら許されないのだから。

最初に述べたとおり、『エッジランナーズ』の内容をしっかり理解するには、『サイバーパンク2077』をプレイしていたほうが絶対に楽しめる。視聴後は『サイバーパンク2077』を起動し、いわゆる聖地巡礼としゃれこみたくなるだろう。

やがてデイビッドは、偶然手に入れた軍用インプラント“サンデヴィスタン”を埋め込み、サイバーパンクとなって成り上がりを目指すようになる。

トラウマチームはゲーム『サイバーパンク2077』にも登場しているが、契約者以外への反応は横暴そのもの。『エッジランナーズ』でも彼らの態度が再現されていたのはファンにとっては嬉しい要素だったが、現場に残されたデイビッドにとっては地獄以外の何物でもないだろう。

つまりこの時点では、デイビッドはまだサイバーパンクとしての心構えは持っていないということでもある。そんな彼が、どのようにサイバーパンクとして成長していくのかにも注目してほしい。

特に2話の、デイビッドがルーシーに“母親の夢のために生きている”ことについて指摘される場面は印象的だ。“自分のために生きる”のがサイバーパンクであり、これは『サイバーパンク2077』より前の時代を舞台にしたTRPG『サイバーパンクRED』のルールブックにも明記されている。

もちろんほかの仲間たちも全員サイバーパンクであり、独自の信念を持っている。彼らがナイトシティでどのように生きているのか、サイバーパンクとして生きるということはどういうことなのかが、これでもかというほど描かれていく。

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