子どもたちが労働から解放されるには農業を変える必要がある

デュポンもゴーハムと同意見だ。農業、バイオテック、材料工学などを扱う複合企業のデュポンは、ダウと経営統合する1カ月前の2017年8月にGranularを買収した。

リモートセンシングとは、対象に触れずにセンサーによって光や温度、距離、圧力などのさまざまな情報を検知・測定することです。従来は大気や地表面・海面などの状態を観測するために用いられることが一般的でした。しかし、近年では、農業や自動車などのさまざまな分野でリモートセンシングの技術が取り入れられており、活用方法の幅が広がっています。

当初はうちゅうの中の1つの事業にすぎなかったサグリだが、教育と農業はどちらも本気で取り組むべきもので、だからこそ両立は難しい。「農業課題を解決することで、子どもが夢をあきらめない社会を作りたい」――その思いから現在はうちゅうの経営を離れて、サグリ1本に力を注いでいる。

「デジタル農業に関して言うと、農場経営を行っている農家たちの利益はとても小さくなってしまうのです」とグリフィンは言う。「利益のほとんどは、データの流れを管理しているグループと、分析サーヴィスの提供者にいくことになります」

表1に、タイの水稲農業の現状を示す。わが国に比べ水稲作付面積は約8倍、生産量は約5倍、農業従事者は約2倍の規模だが、単収はとくに雨期において、わが国より劣る。また、乾期は灌漑(かんがいによって栽培されるため、作付面積は雨期に比べ7割減少するが、高度な水利用による栽培体系から、単収は5割ほど増加するという特徴を有している。

衛星画像とセンサーにより取得した情報を機械学習させることで、精度の高い収穫量の予測をできるようになります。高品質化、作業の高効率化を実現しつつ、不確実性が高い農業経営の安定化に役立つことも期待されています。

好天特異領域とは、長期間でとらえた場合に好天の割合が高い領域のことであり、衛星画像から雲頻度画像を作成し、12年間の低雲頻度領域の抽出について検討した(図3)。

わが国の農業・農村分野での衛星画像利用は1990年代末までは、データ取得の不確実性や低分解能の要因により、ごく一部の事例に留まっていた。平成10年代に入り、航空機やヘリコプターなどに搭載するハイパー・スペクトル・センサーの登場により、良食味米の区分出荷や日本型精密農業に関する研究が各地で本格化したが、その後の米価低迷などによって、良食味米の市場価格差が顕著にならないこともあり、現在は一部の産地の取組に留まっている。

アグリルックは、最新鋭の人工衛星技術を用いた営農支援システムで、日々刻々と変化する作物の生育状況や栽培環境を的確にモニタし、高品質な農作物を効率的・安定的に生産するための農業をサポートします。利用に必要なのはインターネットにつながるパソコンのみで、AgriLookのWebサイトにアクセスすると、生育状況マップ、気象メッシュ情報、栽培履歴データベースの閲覧やデータ登録が可能です。また、任意の圃場を選択すると、選択された圃場の生育状況や気象要素の推移をグラフ表示し、過去データと重ねて表示しながら生育状況を確認することも可能です。

そうした利益について言えば、デジタル農業企業のほとんどは“まやかしもの”だとグリフィンは考えている。「Granularは、たいていの類似企業よりもきちんとした会社だと思います」

衛星測位システム「みちびき」によるリモートセンシング×ドローン×画像解析AIで、農業の効率化を目指すファンリード。マレーシアにおいて実証実験に取り組んでおり、衛星から得られるハイパースペクトル画像から病虫害リスクを見える化すべく、Archaic(アルカイック)社とコラボレーションをしています。今回は民間による衛星データ活用や宇宙用AIの可能性について、株式会社ファンリード 取締役 兼 CTOの保延 憲一さんと株式会社Archaic 代表取締役CEOの横山 淳さんに話をお聞きしました。

以上のように、衛星画像から好天特異領域を抽出し、NDVI値から特定した農地領域と合成することによって、乾期作・雨期作ともに、作物の植生指標の変化をとらえることができた。このことは、同国の両時期の作付面積や単収の特徴(前掲表1)を示している。

一方、イギリスの離脱に揺れるヨーロッパ連合(EU)では、農業者への直接支払制度において、衛星画像を用いた作付確認が1990年代から開始され、現在ではEU全域で実施されている。わが国でも、作物統計調査に衛星画像が適用され、今後はリアルタイムな画像情報の活用が強く望まれているところである。遊休農地の把握にも、今後、さらなる活用が見込まれるなか、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術による不作付地の画像判読など、将来的にも発展する技術領域であり、今後の利用場面の拡大が期待される。

それでどうしてパーム椰子の病虫害が分かるかというと、人が弱ってくると顔色が悪くなるのと同じで、植物も弱ってくると色が変わってきます。具体的に言えば、近赤外の波長帯で反射率が悪くなってきます。しかしそのバンドのスペクトルは肉眼や一般的なカメラでは感知できません。そこで、ハイパースペクトル画像でパーム椰子の病虫害スペクトルをいち早く検知することで、病気の早期発見につながるというわけです。ソトコトNEWS 衛星リモートセンシングで農家の課題をどのように解決していきますか?保延 世界的に農業人口が減っているという問題があるために、農業の効率化をより進めていかなければなりません。このような環境下で農業を応援していくためには、例えば、高付加価値の農作物を育てていくことが重要です。マレーシアでいえば、高級パイナップルやドリアンなどの果物が高付加価値ですね。

現地を見て回ると、ルワンダの農業はすべて人力に頼ったものだった。子どもたちが労働から解放されるには農業を変える必要がある。そう思って帰国した後、しばらくして衛星データの無償公開の話を知り、サグリの創業につながっていったのだ。

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