具体的には以下の活動を行うことで金融教育の活性化に取り組んでいく

ひるがえって日本の学校では 本格的な金融教育は始まったばかりです

例えば、金融教育を行う民間団体へ補助金を出すことで活動を後押ししたり、金融教育を含む経済科目の学力水準の改善をめざす教育改革を行うなど、経済全体を豊かにするための消費者育成活動が現在でも活発に行われています。

前述の通り、欧米に比べ日本の金融教育は後れを取ってきたのが実態です。2019年に金融広報中央委員会が行った「金融リテラシー調査」では、金融教育を受けたと認識していない層が回答者の約7割にも上ります。さらに同調査では、約7割が「学校において金融教育を行うべき」と回答。金融知識の不足について多くの人が危機感を抱いているようです。

金融リテラシーとは「金融に関する健全な意思決定を行い、究極的には金融面での個人の良い暮らし(well-being)を達成するために必要な、金融に関する意識、知識、技術、態度及び行動の総体」と定義されている(注3)。リスク性資産も活用した安定的な資産形成や金融トラブルを避けるために、金融リテラシーは必須の生活スキルである。

また、若年層は学校・勤務先等で金融教育を受けた割合が高い(資料3右)。しかし、18~29歳でも13.9%と少数であり、米国全体の20%と比較しても少ない。同調査では、金融教育を学校で行うべきと思う人の割合は、全体では71.8%、18~29歳でも66.6%となっている。金融教育は、金融リテラシーを高める効果が期待され、ニーズも多いにもかかわらず、十分に対応できていないのが現状である。

内容は「大学生や若手社会人が最低限身に付ける必要のある金融リテラシーを網羅」した6分野16テーマ。キャッシュレス決済、住宅ローン、投資リスクの管理などが用意されている。

金融行動に影響する行動バイアスは様々あるが、金融リテラシー調査では、特に影響が強いと考えられる「損失回避傾向」「近視眼的行動バイアス」「横並び行動バイアス」の強さを測っている(資料5、注5)。

さらに、学習指導要領では、金融リテラシーに関わる大きな社会環境の変化として、「デジタル社会へのシフト」が取り上げられています。

金融リテラシー調査では、「金融リテラシー・マップ」の8分野に基づき「金融知識・判断力」に関する正誤問題を25問設けている(注4)。これらの正答率が高いと、金融リテラシーも高いとされる。

さらに、金融リテラシーが高い人の特徴として、金融経済情報を見る頻度が高いことが示されているが、18~29歳では、その頻度が月1回程度、もしくはそれより少ないかまったく見ない人が61.6%と半数以上を占めている(資料4)。18~29歳に学生が約3割含まれていることを考慮しても多い。

こうしたトラブルを回避し、安定的な資産形成を行うためにも金融リテラシーの向上が不可欠であり、それには金融教育の量的拡大と質的向上が必要になる。

金融リテラシーに対する関心が高い今、日本でも政府による金融教育がいよいよ本格化しようとしています。しかし、教育が必要なのは子供だけではありません。未来の社会に正しい金融知識を広く定着させるためには、我々大人も少しずつ金融リテラシーの向上を意識し、情報を得ていくことが大切といえそうです。

ひるがえって日本の学校では、本格的な金融教育は始まったばかりです。アメリカやイギリスには少し遅れましたが、本校の生徒にも、これからしっかりと、そして楽しく学び、お金のことを計画的に考える習慣をつけてほしいと思います。

国が主導する金融教育として、金融庁は日本銀行や財務省と連携し、ゲームを通じてお金の仕組みを学べる小学生向けのサイトを開設しました。

以上の結果を整理する。18~29歳を中心とする若年層は、資産運用を行ったりリスク性資産を購入したりする人は少ないものの、特に2019年から2022年にかけては他の年齢層と比較して増加している。しかし、金融リテラシーは向上しておらず、日常生活で金融経済情報を見る頻度も高くない。学校・勤務先等で金融教育を受けた人は他の年齢層よりは多いが、それでも少数である。また、行動バイアスとして、周囲の人の影響を受けやすい傾向にある。

具体的には以下の活動を行うことで金融教育の活性化に取り組んでいく。

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