骨太の方針2022 歯科

政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)案で、国民に毎年の歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」制度の検討を明記した。定期健診で歯周病などの病気を悪化前に見つけ、1人あたりの生涯医療費を抑える狙いがある。日本歯科医師連盟などが創設を要望しており、7月の参院選に向け組織票を取り込む狙いもありそうだ。

政府は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022/新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(通称「骨太方針2022」)を閣議決定した。
今回の骨太方針の柱は、①我が国を取り巻く環境変化と日本経済、②新しい資本主義に向けた改革、③内外の環境変化への対応、④中長期の経済財政運営、⑤当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方―の5本。その中で、医療政策に関する重要点は①と④、特に④の中の「全世代型社会保障の構築」および「社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進」で取り上げられ、総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」の設置を提唱し、2023年度からのオンライン資格確認の原則義務化、および2024年度中の保険証発行の選択制導入などを主眼とする医療のDX化を推進する方針を提示した。
また、医療情報の利活用を巡り法制上の措置等を講じることや、AIホスピタルの推進と実装などを新たに盛り込んでおり、これらが大きな特徴となっている。
さらに、歯科医療に関しては、「国民皆歯科健診」の具体的検討の推進が盛り込まれた点が注目されている。

日本歯科医師会は6月8日(水)、歯科医師会館で記者会見を開催し、7日(火)に「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)」が閣議決定されたことを受けて、それに対する見解(別添資料)を示しました。 挨拶に立った堀憲郎会長は、見解の概要を述べる中で、骨太の方針2022の閣議決定前に歯科部分の記載内容が注目を集めたことについて、国民や各方面から関心がある反面、誤解が生ずることへの懸念として、「歯科健診の義務化がすぐ始まる」「歯科健診が医療費抑制を目的とする」というイメージが一人歩きしていることを挙げました。 「生涯を通じた歯科健診の充実を図る」という骨太の方針への記載は、今回で連続6回目であり、「具体的な検討をする」となったことで、議論が深まることへの期待を示しましたが、方向性としては決して新しいものではないと強調しました。 また、今回の趣旨は全身の健康の増進に向けて、口腔のチェックを推進しようというもので、これから必要なこととして「口腔と全身の健康との関係のエビデンスの精緻化」「歯科健診の重要性のさらなる理解」「健診の仕組みの検討」「データの標準化」など、課題は多いとの認識を表明。それらに一つひとつ取り組み、議論を深化させることが必要で、現時点で直ちに「義務化」の部分だけが議論されるものではないとしました。 さらに、「医療費抑制」という表現が盛んに出てくることについて、歯科健診の充実の目的は「口腔と全身の健康増進、健康寿命の延伸」であり、医療費の削減はその結果としての可能性であって、目的ではないと強調。歯の数が多いほど医療費が低いといったデータや、歯周病の治療で糖尿病が改善する事例報告などのほか、口腔と全身の健康との関係のエビデンスが示されていることから、定期的な歯科健診は、歯科以外にも全身の健康に関わるものと述べました。2017年に、経済財政諮問会議でも取り上げられた「入院患者への口腔機能管理の徹底で、入院期間が1割以上短縮される」といったデータもあり、それは医療現場の負担軽減、即ち「医療のニーズの総量を減らす」ことにつながる可能性への期待を示しました。

日本歯科技工士会(杉岡範明会長)は、11月4日から6日まで開催される第41回全国障害者技能競技大会「全国アビリンピック」(高齢・障害・求職者雇用支援機構主催)に向けて、第20回「歯科技工競技」の選手募集を開始した。

東京都歯科医師連盟(大越壽和会長)は1日、東京都千代田区の歯科医師会館で、7月の参議院選挙に日本歯科医師連盟の組織代表として臨む予定の山田宏参議院議員の総決起大会を開いた。

そこで、政府は、虫歯だけでなく歯周病の早期発見で様々な病気を予防することを目指し、歯科健診の対象の拡大や、歯周病を判定する簡易な検査法の導入なども検討する。

愛知県歯科医師連盟(内堀典保会長)は5月29日、名古屋市のホテルメルパルク名古屋でデンタルミーティングを開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開催は3年ぶり。県内の歯科医師会・連盟役員、関係者と歯科技工士会、歯科衛生士会と連盟の代表、自由民主党の県選出国会議員、県議会議員らが一堂に集まった。

厚労省の施設動態調査による令和4年3月末現在の歯科診療所数は全国で6万7,761施設で、前月より3減少した。

全日本民主医療機関連合会歯科部(岩下明夫歯科部長)は2日、東京都千代田区の厚生労働記者会で「歯科酷書―第4弾」発行に伴う記者会見を開いた。歯科酷書を通じて、「『全世代型社会保障制度改革』の推進を即刻中止し、国民一人ひとりの人権が守られる豊かな社会保障制度を実施すること」「国の責任を明確にし、高すぎる健康保険料を引き下げ、窓口負担を軽減すること」「国民健康保険法第44条の減免制度を実効性のある制度にすること」「無料低額診療事業への国や行政の支援を広げ、実施事業所を増やすこと」を行政に求めていると強調した。

社会保険診療報酬支払基金による令和4年2月診療分の歯科の件数は1,210万2千件、点数は145億410万9千点で、前年同月に比べ件数は1.5%減少、点数は2.5%減少した。

しかし、現在、歯科健診が義務付けられているのは、1歳半と3歳、小中高生のほか、塩酸などの化学物質を扱う労働者などに限られている。

国保中央会がまとめた令和4年2月診療分の歯科医療費は市町村が523億円で、対前年同月比で4.2%減少。組合は44億円で3.2%減少。後期高齢者は500億円で0.2%減少した。

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

今回の閣議決定を受け、解決すべき課題はまだまだあるものの、国民皆歯科健診の導入実現への大きな一歩が進んだ。WHITE CROSSでは、当日の様子を公式YouTubeで公開中。ぜひご視聴いただきたい。

日本歯科医師会の柳川忠廣副会長は、歯科における電子カルテ情報の標準化の推進や、オンライン資格確認システムの原則義務化などが骨太の方針に記載されることを見据えて、引き続き対応していく構えを見せた。5月27日に開かれた都道府県会長会議の中で報告したもの。

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