投票結果は賛成93 反対24 棄権58だった
国連総会は7日、国連人権理事会でのロシアのメンバー資格を停止する決議案を採択した。ロシアは採決前、各国に対して決議案への反対を求める書簡を配り、「脅し」と受け取られるような行動を取っていた。ウ...
決議で資格を停止するためには、棄権票や無投票は考慮されないで、賛成と反対の総票数のうち賛成が3分の2以上になる必要があることから、理事国としての資格停止が決まりました。人権理事国の資格停止は、リビアのカダフィ政権(当時)による反体制派の武力弾圧に対してリビアの資格を停止した2011年3月以来のことです。
欧米や日本など50数ヵ国が共同提案国となった決議案に対して、ロシアのほかに中国、北朝鮮、ベトナム、イラン、シリア、キューバ、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスなどが反対票を投じました。中国やベトナムなど18ヵ国は、3月24日の決議には棄権したものの、今回は反対しました。一方、インドやブラジル、南アフリカなど58ヵ国が棄権しました。
(CNN)国連総会は7日の会合で、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議案の採決を行い、賛成多数で採択した。投票結果は賛成93、反対24、棄権58だった。
人権理理事国の任期は3年で、ロシアは2023年末まで務める予定でした。決議案では「資格停止」としたうえで「適宜見直す」としており、国連総会が今後資格を復活させる可能性も残されていました。しかし、ロシアは採択後に自ら離脱する意向を表明したことから、復帰の道はなくなりました。
人権理事会からロシアを排除するには国連総会で3分の2の賛成票が必要だった。
一方、ロシアのゲンナジー・クズミン国連次席大使は「違法で政治的動機に基づく措置だ」と反発し、人権理を脱退するとの露政府の決定を読み上げた。
総会会合記録の全文はUNBISnet(アクセス自由)および国連公式文書システム(ODS)(登録が必要)を通じて閲覧できます。第55回総会以降については、本会議会合記録の全文が国連文書センターでご覧になれます。
決議採択を受け、リンダ・トーマスグリーンフィールド米国連大使は演説で「犠牲者らの苦しみは無視されないという明確なメッセージを送った」と述べた。日本の石兼公博国連大使も演説で「ロシアが(戦争を)選択した必然的な結果だ」と強調した。
そのうえで、全当事国に対し平和の機会と交渉の展望を生み出すため一致団結するよう要請。中国は引き続き反対と公平な立場を維持し、責任ある建設的な役割を果たしていくとした。
国連人権理事会は、人権と基本的自由の促進と保護に責任を持つ国連の主要機関です。1946年から60年間にわたって活動してきた「人権委員会」に代わる機関として、人権問題への対応を強化するために、2006年に国連総会によって設置されました。人権侵害に取り組み、それに対応する勧告をするなど幅広い活動を行っています。任期3年の47ヵ国からなる理事国は地域ごとに議席が設けられています。事務局はジュネーブの人権高等弁務官事務所(OHCHR)が担っています。
ウクライナ情勢を巡り、露軍の即時撤退や人道状況の改善を求めた過去2回の総会決議ではそれぞれ141、140の賛成を得た。今回は国連機関の参加資格を奪う強い措置で、賛成した国の数は減った。
今回の決議は、3月の2度の決議と比べて、賛成が約50ヵ国減り、反対と棄権が約20ヵ国増えました。ロシアから強い圧力を加えられた国が少なからずあったことに加えて、人権理事会に設置された独立調査委員会による調査結果を待たずに資格停止を決めることに反対する国がありました。
中国の張軍国連大使は採決の前、中国は反対票を投じると表明。国連総会での7日の演説で、「人権理事会での資格をこうした形で扱えば新たな危険な先例を設けることになる」「深刻な結果を招く」と述べた。
中国外務省の趙立堅報道官は北京で8日開いた定例記者会見で、決議案の作成が「オープンかつ透明なやり方」で行われず、「広範な意見に配慮し、加盟国全体の中で協議が持たれるという慣例にも則っていなかった」と主張。今回の動きは「拙速」だったと指摘し、人権問題の「政治化」と「他国に圧力をかけるために」人権問題を利用することに中国は反対すると述べた。