政府はことしの「骨太の方針」を決定しました

今回の骨太方針は政府が「中長期的・計画的な財政出動」を行うことを明示した点が従来からの大きな変化である。そして、財政再建についてのトーンが明確に弱まっている点も特徴だ。骨太方針では「財政健全化の『旗』を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む」としつつも、「現行の目標年度により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められてはならない」「債務残高GDP比をコントロールする観点からも名目成長率を高めることが重要」「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」といった記述が新たに盛り込まれている。従来記載されていた財政目標を「堅持する」との文言はなかった。また、「状況に応じて必要な検証を行っていく」として将来の財政再建目標修正に含みを持たせている。「これまでの財政健全化目標に取り組む」とされていることから、政府の掲げる2025年度の基礎的財政収支黒字化目標そのものは生きている形になっているが、経済優先のトーンが強まっており、財政再建目標の優先順位は低くなったと考えられる。

骨太の方針2022では、具体的な取り組みとして下記が挙げられています。

政府はことしの「骨太の方針」を決定しました。焦点の1つとなっていた防衛費の扱いについて、NATOの加盟国がGDPの2%以上を目標としていることを例示し、防衛力を「5年以内」に抜本的に強化することを明記しました。

中長期的・計画的に政府が支出を行うという「単年度主義の弊害是正」(基金等による複数年度の財政支出)と、財政再建目標における2025年度(3年後)の基礎的財政収支黒字化は、基本的にバッティングする概念だ。基礎的財政収支の黒字化目標を第一に優先すると、今後骨太方針内の政策が具体化されていく過程において、「現行の目標年度により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められる」事態が起こってしまう。この点を含め、今回骨太が財政再建計画や今後の財政運営に与える示唆については、稿を改めて検証したい。

そこで、今回は骨太の方針2022を解説します。

骨太の方針2022における重点投資分野のトップバッターが「人への投資と分配」です。

骨太方針では、経済的利益のみならず、社会課題の解決をビジネスの新たな評価尺度に据える方向性も示されています。
社会課題の解決と経済成長の両立を支援する手法として示されているのが、新たな法人形態の創設で、政府の「新しい資本主義実現会議」において検討が進められています。現行の株式会社制度では、株主利益を中心とする経済的な利益の追求が要請され、社会課題の解決を掲げた起業家の資金ニーズに必ずしも応えられないという限界があり、この点に解決策を与えようというのが新たな法人形態の狙いです。

政府に「医療DX推進本部(仮称)」を設置し、医療の医療DX(デジタルトランスフォーメーション)化を強力に推進するとしていることに関しては、医療のデジタル化を進めていくことについて日本医師会は全く同じ方向性であるとした上で、業務の効率化や適切な情報連携などを進めることで、より安全で質の高い医療を提供できるよう、現場の意見をしっかりと届けていく意向を示した。

医薬品・検査薬を医療用から一般用へ転用することについては、「骨太の方針2022」と同時に閣議決定された「規制改革実施計画」にも挙げられているが、国民の利便性が向上する部分もある一方で、医療用医薬品には重大な副作用などがあり、検査結果は治療に大きな影響があるとし、日本医師会としては、国民の安全を最優先する観点から、今後も医療用から一般用への転用の検討に関しては、有効成分ごとに安全性に関して丁寧に議論すべきと強調した。

今回の骨太の最大の特徴は、様々な分野において中長期的・計画的な財政支出を行う旨が明記された点である。「人への投資」では、成長分野への移動促進に3年間で4000億円の政策パッケージを設ける旨が示されたほか、「グリーントランスフォーメーションへの投資」を行うために新たな国債=「GX経済移行債(仮称)」を発行する。政府投資の規模は“10年で20兆円規模”とされる(岸田首相発言)。国際情勢の変化に伴う防衛の重要性も説かれており、防衛費増額も念頭に置かれている。また、骨太方針では予算の単年度主義の弊害是正について繰り返し触れられており、複数分野で政府が中長期的・計画的に支出を行っていく方針が示されている。米欧でも市場原理での解決の難しい脱炭素や安全保障分野などへ政府が数年間にわたって財政支出を行う計画が立てられてきた2。政府部門がこれらの投資を先導する近年の「大きな政府」の世界潮流に日本も乗ることになる。

例えば、規制改革実施計画の中でも、「検討を行う」、「周知する」といった表現から「必要な法案を提出する」といった表現まで文末の文言は様々です。特に、具体的な時期や実施内容が記載されている場合は、急速に政府での検討が進む場合もあるため、自身のビジネスに関連する事項があれば、その動きをよくフォローする必要があります。

政府は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)を閣議決定した。「新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」と題する今回の骨太方針は、「第1章:我が国を取り巻く環境変化と日本経済」「第2章:新しい資本主義に向けた改革」「第3章:内外の環境変化への対応」「第4章:中長期の経済財政運営」「第5章:当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方」の5章立て。 少子高齢化や潜在成長率の停滞など内外の難局が複合的に押し寄せる中、求められているのは、こうした課題の解決に向けた取組みそれ自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置付け、官民が協働して重点的な投資と規制・制度改革を中長期的かつ計画的に実施することにより、課題解決と経済成長を同時に実現しながら、経済社会の構造を変化に対してより強靱で持続可能なものに変革する「新しい資本主義」を起動することであると明記。 従来の資本主義をバージョンアップすることにより、自由で公正な経済体制を一層強化していくとしている。具体的には、地域活性化の推進策として、中堅・中小企業の活力向上に向けた事業再構築・生産性向上支援、取引適正化を挙げているほか、債務が増大している企業や家計への対応として、債務減免を含めた債務整理等の収益力改善・事業再生・再チャレンジの支援、新たな事業再構築法則の整備、緊急小口資金等の償還免除などを挙げている。 税制改革では、経済成長と財政健全化の両立を図るとともに、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進めると明記。骨太方針2021等も踏まえ、応能負担を通じた再分配機能の向上・格差の固定化防止を図りつつ、公平かつ多様な働き方等に中立的で、デジタル社会にふさわしい税制を構築し、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、税体系全般の見直しを推進するとし、納税環境の整備と適正・公平な課税の実現の観点から制度及び執行体制の両面からの取組みを強化するとともに、新たな国際課税ルールへの対応を進めるとしている。

骨太方針の文書について、単語の出現頻度を示すワードクラウドを作成、昨年の骨太方針と比較してみたものが資料2だ。まず、2021年はトップワードであった「感染症」の出現頻度が大きく減少(2021年:97回→2022年14回)。新型コロナの落ち着きともに骨太内での出現頻度が減っている。今回の骨太では「投資」(42回→92回)の出現頻度が大きく増加したことも特徴。積極的な政府投資を掲げる内容になっていることが語の出現頻度にも表れている。また、「安全保障」も増加(20回→39回)。ウクライナ情勢の緊迫化等に伴い、より多くの紙幅が割かれている。

骨太方針では、脱炭素・カーボンニュートラルを実現するための経済社会システムの変革(いわゆるグリーントランスフォーメーション(GX))への投資が「新しい資本主義」の柱として位置付けられ、そのための官民連携投資の基本方針が示されました。
今後10年間に150兆円超の投資を実現するための「成長志向型カーボンプライシング構想」の具体化や、そのような投資を先導する政府資金を調達するための「GX経済移行債(仮称)」の検討などが掲げられており、今後、日本においても、脱炭素・カーボンニュートラルの分野への投資がさらに拡大していくことが予想されます。

骨太の方針2022では、日本型雇用慣行を覆すさまざまな施策が明示されています。

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