オールスター初出場のライデル・マルティネス
育成選手としてドラゴンズに入団し、今やリーグを代表するクローザーへと成長した25歳。無限の可能性を引き出したのはドラゴンズという環境だった。ライデル「ここまでの6年間でたくさんのことを学びました。練習方法やジムでのウエートトレーニング、体調管理に加え、ストレートの球速も上がりました。森(繁和)監督に『お前のストレートに加えてフォークボールを持っていたらもっといい』と言われて、フォークボールを覚えたのも今につながっています。本当に感謝しています」
――ライデルは料理上手?ジャリエル「そうだよ」ライデル「料理は好きな方です。奥さんから教わりました。つくるのはキューバ料理です。白いご飯に豆を混ぜるキューバの伝統料理をよくつくりますね」
それでもチームは延長11回、執念の勝ち越し。この勝利こそが折れかけた守護神の心を支える光となっていた。ライデル「あの試合は最後に勝つことができました。『引きずっても仕方ない』とすぐに切り替えて、次の試合に気持ちを向けることができました。誰にでも失敗はあるものと考えて切り替えることができました」
オールスター初出場のライデル・マルティネス。前日にサヨナラホームランを放った清宮をフォークで空振り三振。1イニングを無失点に抑えました。
圧巻だったのは4月1日からの2か月半。ライデルはこの間28試合連続無失点というピッチングを披露した。まさに無双状態。ライデル「特に意識していませんでした。いつもマウンドに上がったらひとつのアウトを取ることに集中しているので、無視点という記録は意識していません」
ドラゴンズでともに戦うキューバの同胞たちからも一目置かれている。アリエル「ライデルは体が大きく、ボールを真上から投げ下ろす。さらに歩幅が大きいので、バッターの視点から見ても彼の体がとても近くに感じられる、というところが彼の強みのひとつだと思う」ジャリエル・ロドリゲス「ライデルはリーグナンバーワンのクローザーだし尊敬している。あと彼は料理がうまいね」
その右腕に試練が訪れたのは7月16日。先発の大野雄大が7回を無失点、1点のリードを守り抜くと、8回は清水がつなぎ、最終回の守護神へとバトンが託されたゲームだった。誰もが勝利を確信した9回。内野ゴロの間に1点を失い、積み上げてきた無失点試合の記録も途絶えた。ライデル「大野さんが素晴らしいピッチングをしていて、自分が最後を抑えればという場面で同点にされてしまい、すごく悔しかったです。大野さんの仕事を引き継いだのに自分の仕事をやり遂げられなくて、とても悔しかったです」