金融教育ベンチャーのマネネCEO

家計管理と資産形成3

日本では、全国のどの地域でも一定の水準の教育を受けられるようにするため、それぞれの学校がカリキュラムを編成する際の基準として「学習指導要領」が決められています。この「学習指導要領」の改訂によって、2022年4月から高校で「金融教育」の授業が始まることになります。

筆者は起業した2018年時点から一貫して主張してきたが、やはりしばらくの間は、家庭での金融教育が重要となると考えられる。筆者も3人の子どもを持つが、何が正解なのかは分からないまま、試行錯誤しながら強制せずに楽しみながら一緒にお金の勉強をしているところだ。

「金融教育」が学校の中で扱われるようになった底流としては、①2022年4月から成年年齢が20歳から18歳へ引下げられることを踏まえ、成年としての意思決定の重要性を学ぶ必要がある、②「人生100年時代の到来」(第1回コラムリンク)により、国民一人一人が安定的な資産形成を実現し、自立した生活を営む力が求められる、③諸外国に比べて日本の金融リテラシー度は低いという結果が出ているといった点が挙げられます。

ちなみに、英国では2014年から公立学校のカリキュラムに金融教育が含まれており、より体系的なプログラムが提供されている。内容は、日本と米国を混ぜたような印象だ。お金の管理やリスク管理、金融が社会の中でどのような役割を果たすかを学んでいく。批判的思考ができる消費者になるためのプログラムには、やはり「選択」を軸とした内容が盛り込まれており、日本ではマーケティングを学ぶ際に出てくる「ニーズとウォンツの違い」も未就学児が習うようになっている。また、数学でも金融における利率や単位価格などを習うことになっている。

官公庁や民間企業が提供している金融教育支援プログラムを紹介させていただきます。

また、 資産形成については「必要ない」と思う人の45.3%が「やり方が分からない」と回答していたり、 資産形成に対してのイメージとして「何から始めれば良いか分からない」「専門的な知識が必要そう」という回答が40%超となった。同社は「資産形成や金融に関する学びのニーズが大きいという結果になった」と見る。

金融教育ベンチャーのマネネCEO。経済アナリストとして執筆や講演をしながら、キャッシュレス企業のCOOやAI企業のCFOを兼務する。日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書は『MMTが日本を救う』『親子ゼニ問答』。

今後の資産形成への興味については、「資産形成が必要」と感じている人は75.7%に上る。 理由としては「将来に対する不安があるから」が55.2%、 「お金に関する勉強になるから」が53.6%だった。69.2%が「機会があれば金融(資産形成や家計管理)について学んでみたい」と回答しており、 学びたい内容は「将来の資産計画の立て方」が58.1%で最多となった。

このように外国の例を見ていくと、体系的なプログラムがどの程度用意されているかなど、多少の違いはあるものの、未就学児の頃から少しずつ金融教育を始めるという共通点があることが分かる。

とはいえ、来年度から高校の家庭科の授業の一部で金融教育を行うことになった日本において、一足飛びで米国や英国のようなプログラムが実現すると期待するのは、少々酷だろう。

マネックス証券株式会社は3月11日、17歳~19歳の学生男女計572名を対象に実施した「お金と資産形成への意識調査」の結果を発表した。成人年齢の引き下げにより、今年4月から18歳以上が証券総合取引口座を開設することができるようになる。同時に、高等学校で金融教育が開始される。家計の管理などについては学習指導要領にも明記されていたが、4月以降は、投資信託や債券など具体的な将来の資産形成についての指導が開始される。同社が提供するかんたんスマホ投資「ferci」での取引も可能になることから、今後資産形成がより身近になる世代に「お金」や「資産形成」についてどのように考えているかを訊ねた。結果、約90%が成人年齢引き下げを認識しているのに対し、高校での金融教育が開始されることは約30%しか知らなかった。

とはいってもこれまで調理実習や裁縫といった授業内容だったところに急に金融の話が割り込んでくる、という話ではありません。これまでの学習指導要領においても、自分のライフコースを考えたり、消費者として悪徳商法から身を守ったり、といった広い意味での「お金」の授業はありました。この2022年4月からの内容が目新しいのは、ズバリ、積極的な「資産形成」についての内容がしっかりと盛り込まれている、ということ。

高校家庭科教職員対象セミナー「家庭科における金融教育」<講演内容>■第1部講演『新しいお金の考え方』(60分)講師:八木 陽子 氏(株式会社イー・カンパニー代表、ファイナンシャルプランナー)1。老後2000万円問題から紐解く日本の将来と、若者の意識2。家計管理と資産形成3。高校生に伝えたいお金のこと八木 氏プロフィール:上智大学外国学部卒業。出版社で女性情報誌の編集部勤務を経て独立。その後、ファイナンシャルプランナーやキャリアカウンセラーとして10年以上の仕事実績と消費者の視点から、誰よりも分かりやすく「お金」「経済」「キャリア」を伝える。 2017年より文部科学省検定の高校家庭科の教科書にファイナンシャルプランナーとして初めて掲載される。親子で一緒にお金と仕事を考える「キッズマネーステーション」を主宰。監修した書籍に「10歳から知っておきたいお金の心得~大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方」(えほんの杜)など。■第2部講演『金融で生きるための力を身につける』(60分)講師:横山 治輝 氏(茨城県立常陸大宮高等学校教諭)1。資産運用をはじめた高校生たち2。外部との連携でリアルな授業を3。金融で生きる力を身につける横山 氏プロフィール:証券会社を経て、2010年より同校勤務。2016年12月に全国で3番目となる高校生株式会社「HIOKOホールディングス株式会社」を設立。同社は地域の特産品を生かし商品開発を行い、生徒が素材から生産、加工・販売までを行う日本初の“6次産業型高校生株式会社”として活動。2019年からは事業会社の一つであるHIOKOファイナンスが内部留保を活用した資産運用を始めるなど、生徒と先進的な取り組みを行う。

金融、というと、もしかすると公民や政治経済といった科目を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし今回、金融教育がカリキュラムに組み込まれることになったのは、家庭科の授業。つまり、“経済社会の仕組みとして金融を学ぶ”というよりも、“生活に必要なものとして金融を学ぶ”という意味合いで、金融教育が行われることになった、ということになります。

「資産形成」つまり「投資」というと、大人であっても「リスクがあって怖い」「ギャンブルと同じ」と思っている人はいまだに少なくありません。そんな中にあって、まだ未成年である高校生が、資産形成について全国一律で学ぶようになる――これは大きな時代の転換点と言えるかもしれません。

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