骨太の方針2022
骨太の方針2022の「内外の環境変化への対応」では、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記されました。ウクライナ紛争や極東アジアでの地政学リスク増大などを念頭に、NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に求める国防予算の対GDP比2%以上の基準が特記されています。仮に、日本の防衛費の目標が対GDP比2%となれば、現在から倍増させる必要があります。
骨太の方針2022における重点投資分野のトップバッターが「人への投資と分配」です。
骨太の方針2022では、日本型雇用慣行を覆すさまざまな施策が明示されています。
骨太の方針2022の「中長期の経済財政運営」では、「財政健全化の『旗』を降ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む」と明記されたものの、基礎的財政収支を黒字化させる目標年度(2025年度)や目標「堅持」の記述が削除されています。GX経済移行債(仮称)のような複数年度にわたる投資支援策を、岸田政権の特色として打ち出そうとしている模様です。
骨太の方針2022では、具体的な取り組みとして下記が挙げられています。
骨太の方針2022では、岸田政権が従来から掲げていた賃上げ促進税制に加え、人材育成や雇用流動化の支援といった人的資本への投資を積極化することで、雇用者報酬を増加させる方針が示されました。
スタートアップ(新規創業)への投資も重点分野に掲げられています。骨太の方針2022では、イノベーションを生み出し、社会課題の解決にも貢献し得るスタートアップを新しい資本主義の担い手として位置づけ、「スタートアップ育成5ヶ年計画」を2022年末に策定するとしています。スタートアップを5年で10倍に増やす目標を掲げ、米国などと比較し見劣りするベンチャーキャピタルへの公的資本投資拡大などを実施していく方針です。
2022年6月7日、岸田内閣は「経済財政運営と基本方針2022(骨太の方針2022)」を閣議決定しました。最大の注目点は岸田首相が標榜する経済政策「新しい資本主義」がいかなる形で実行計画案に反映されるかでした。
骨太の方針2022の閣議決定を前にした2022年5月、岸田首相は英国のギルドホールでの基調講演において、「この20年間で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、日本においては1.4倍にしかなっておらず、ここに日本の大きなポテンシャルがある」と発言しています。貯蓄から投資へのシフトを促す具体的な政策の実現が注目されます。