鎌田:続いては『かがみの孤城』
2018年に本屋大賞を史上最多得票数で受賞、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2021」(文庫部門)など9冠に輝く辻村深月のベストセラー小説「かがみの孤城」。子どもから大人まで幅広い世代から熱い支持を集め、累計発行部数は現在130万部を突破。そんな多くの人から愛される小説が満を持しての劇場アニメ化!監督は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』『河童のクゥと夏休み』『カラフル』など繊細な心情描写で知られ、数々の映画賞に輝き国際的にも高い評価を得る原恵一。制作は『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』など数々の名作青春アニメを世に送り出してきたA-1 Pictures。そして主人公の声優には、原監督に「彼女しかいない」と絶賛されオーディションを勝ち抜いた當真あみ。14代目「カルピスウォーター」CMキャラクターでも注目を集める彼女が、等身大の瑞々しい演技で主人公・こころに息を吹き込む。この冬、珠玉のスタッフ・キャストにより、日本中に共感と感動を巻き起こす青春映画の新たな名作が誕生する。
少し前にポプラ社の方が店舗まで足を運んでくれました。その際とても楽しそうに『かがみの孤城』の話をされていたので、気になって読むことに。上下巻に分かれているし、分厚めだったのでためらっていたのですが、気付いたら1日1冊ペースで読み終えました。おもしろくて止まらないのです。
『かがみの孤城』は、大好きな作品なので、以前から繰り返し読んでいました。フウカちゃんの声を担当させていただくことが決まった時は、本当に驚いたと同時に、とても嬉しかったです。
鎌田:続いては『かがみの孤城』。読む前の周りの評価が非常に高かったので、僕はこれ、ちょっと期待しすぎてしまったかもしれません。もともとそんなにファンタジーが得意ではないというのもあるのですが、“鏡に入り込める”、“鏡をくぐり抜けた先にお城のような建物がある”……といったファンタジー感満載の設定に、少し気後れしてしまいました。
豊城:『かがみの孤城』は、中学でいじめを受けている主人公・こころが鏡をくぐり抜けた先に、こころと同じような境遇の6人が待っていて……というストーリーですが、私、中学生のときにいじめられている友人たち7人くらいで交換日記をやっていたことがあるので、この設定には異常なほど感情移入してしまいましたね。
オオカミのような不気味な仮面をかぶった少女。鏡を通り抜けた先にある不思議な城「かがみの孤城」の持ち主。安西こころたち、7人の中学生を城に集めて「どんな願いでも叶えられる“開かずの部屋”を開く鍵」を探させようとしている。こころたちのことは「赤ずきんちゃん」と呼ぶ。過去に何度も同じようなゲームをしたことがあるらしい。
■辻村深月(原作)『かがみの孤城』は映像化がかなり難しい小説なのではないかと感じていました。しかし、アニメであれば作中の城の世界観や、主人公たちの思いを原作の持つ雰囲気のまま届けていただけるのではないか、と想像が膨らみ、ぜひお願いしたいと思いました。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『河童のクゥと夏休み』など「泣けるアニメの名手」として知られ、本作の監督を務める原恵一は、當真の起用理由について「當真さんの無垢でまっさらな声や、言いたいこともなかなか言えないような辿々しさ、當真さんの今とこころの今がぴったり一致していて、こころは彼女だと思いました。こころを見つけました」と話す。原作者の辻村深月は、「原監督は私が多感な時期にとても影響を受けた方です。その原監督に今回、『かがみの孤城』をお願いできることに大きな幸せを感じています。スクリーンで生きて動くみんなに会えるのを、今からとても楽しみにしています」と期待を寄せた。
この本を選んだのは、僕が初めて泣かされた本だからです。僕は福岡県出身で、大阪府の学校に中学校から4年間、寮から通っています。自分が寮生活をしている中で、高1の2学期にこの本に出合い、就寝時間は12時なのに深夜3時までずっと読んで、号泣してしまいました。この本に出てくる7人の子たちや、他の登場人物のかがみの孤城内での生活を読んでいると、僕が独りで抱え込んでいると思っていた悩みが、実はこの子たちも同様に悩んでいるんだと思われたからです。だから、自分は独りじゃないんだと励まされた気持ちになって、感動しました。
何かしら事情のある7人の子どもたちが集められた、かがみの孤城。孤城ではたいていゲームをしているのですが、何か話の噛み合わないことも…。なぜこの7人が集められたのか。一体どうなっていくのか。読み始めたときに展開が少し読めます。が、その展開は伏線で次の展開に進みます。おぉ!そうなるんだ!と思い、読み進めていくと、またまた違う展開が!と、辻村さんの世界観が満載で、めちゃくちゃのめり込みます。
かがみの孤城には一つだけ「願いの鍵」というものがあって、それを見つけた人1人の願いが叶います。7人は、その鍵を探し始めました。願いの鍵探しには2つルールがあります。1つ目は「願いの鍵を探せるのは、ここに呼ばれた子どもたちで、期間は5月から次の年の3月30日まで」。2つ目は「かがみの孤城に入れるのは朝の9時から夕方の5時まで」というものです。もし夕方の5時を過ぎても居残った場合は、狼に食べられてしまうというペナルティ付きのものでした。
中学1年生の安西こころは、学校でいじめに遭い、不登校になっていた。そんなある日、こころの部屋の鏡が光り始めた。鏡を通り抜けた先は不思議な城「かがみの孤城」に通じており、こころを含めた7人の中学生たちが集められていた。オオカミさまと名乗る案内人の少女は、こころたちに「どんな願いでも叶えられる“開かずの部屋”を開く鍵」を城の中から探すように告げる。願いを叶えられるのは、部屋を開けることのできた一人だけ。しかし、中学生たちは必死に鍵を探そうとはせず、城に集まって遊ぶことを楽しみ始める。学校にも家にも居場所がなくなっているように感じていたこころは、城だけが自分の居場所のように感じ始めるのだった。
■當真あみこころちゃん役に決まったと聞いたときは本当にびっくりして、聞き間違いじゃないかと思いました。原作の『かがみの孤城』はお薦めされて読んだあと、自分でも買って読み返したくらい好きな小説だったので、すごく嬉しいです。声のオーディションというのが初めてだったので″こういう感じでいいのかな”と不安もありながら、こころちゃんと自分が似ているところがあると思ったので、どうしてもこころちゃん役を勝ち取りたいと思って必死に練習して挑みました。
かがみの孤城は会話劇で進んでいきます。細かな心情、アニメーションならではの呼吸感、空気感。台本を読み進めるのがすごく楽しくて、それでいて彼らの気持ちがすごくよくわかる。そんな作品でした。映画館で公開されるのが僕も楽しみです。
また、原監督は私が多感な時期にとても影響を受けた方です。その原監督に今回、『かがみの孤城』をお願いできることに大きな幸せを感じています。スクリーンで生きて動くみんなに会えるのを、今からとても楽しみにしています。