その意味で金融教育が重視する体験的な学習の意義は大きい
Q20 高校生のお子様についてお答えください。
子供たちの成長に願いを込める保護者や教育を受ける子供たちの立場に立って金融教育の意義をより魅力あるかたちで表現すれば、次のように整理することもできる。
また、高校生が金融や経済に関する知識や判断力(金融リテラシー)を十分に身につけていると思うかについて聞いてみると、「どちらかといえば身につけていないと思う」と「身につけていないと思う」を合わせて、60.6%が「身につけていないと思う」と回答した。
結論からいうと、子どもの金融教育はできるだけ早い年齢から始めたほうが良いとされています。しかし理解力や好奇心の発達は子どもによって異なるため、個別のアプローチが必要です。
日本ではあまり「お金の教育」に対して積極的ではありませんでした。しかし最近は金融教育の重要性が見直されています。
学校での金融教育を後押しする中、家庭ではどのように対応したら良いのでしょうか。小学校に上がる前から始めるべきか、そのときはどのような教育方法が適切なのか保護者は悩んでしまいますよね。
家庭内の金融教育で、親が子供に求めることについて聞いてみると、「お金の大切さを分かってほしい」「お金を計画的に使えるようになってほしい」が42.3%で最多となった。
高校生に、今後金融に関して学んでいきたいか聞いてみると、60.3%が「学びたい」と回答した。今後、学びたい金融に関する項目については、「適切な収入・支出の管理方法について」が52.8%で最多となった。次いで「保険の種類と必要になる金額の理解について」が52.4%、「住宅ローンやカードローンの仕組みやリスクについて」51.0%となった。
いまの子供たちは何事につけ簡単に答を知りたがる傾向があるといわれる。金融教育は、金融分野の知識や情報を得ることだけでなく、教科等の学習で得た知識や、自分なりの経験・判断を織り込みながら、課題解決に向けて、総合的に組み立て、高度に応用する力を養う点に特徴がある。得られた知識、友だちの考え方、自分の価値観、現実的な制約等様々な条件を加味しながら、課題解決のためのいくつかの選択肢を考え、その中から最良と思われるものを選び取る過程で、子供たちは物事を複線的にとらえ、柔軟でたくましく生きる基礎力を培うことができる。
大事なのは、子どもに渡したお小遣いの使い道に、親が口出しをしないことです。子どもが自分で考え、使い、小さな成功や失敗を繰り返しながら、「お金について学ぶ機会」としてお小遣いを渡しましょう。文房具代など必要経費は家計でまかなう、お小遣い以外ではお手伝いなどの労働の対価として支払うなど、家庭内で「お金のルール」をつくって金融教育につなげましょう。子どものお小遣い管理をサポートしながら、気長に見守っていくことが大切です。
ここから、さらに小学校低・中・高学年、中学校、高校の5学年に分けて目標を理解レベルに合わせて段階的に細分化し、各目標に合わせた学習プログラムや実践事例が「知るぽると(金融広報中央委員会)」のホームページ内で公表されています。すべての分野目標を小学校低学年から網羅していくのではなく、発達度合いに合わせて設定しているため、経済変動や経済社会の諸課題など、中学校や高校から学び始める分野目標もあります。
いまの子供たちは生活体験、社会体験等が不足しているといわれる。金融教育は現実の社会を知るための知識を学ぶが、それだけが目的ではない。体験的な学習などを通して、知識や課題を常に自分の暮らしや生き方とかかわらせながら理解し、それを現実の場で活用したり、行動に表す部分が大事な構成要素となる。従って、金融教育は常に実社会や自己の生活といった現実に目を向けさせる窓としての実学的性格をもち、やがて子供たちが生活者や社会人としてその役割を果たすための予備教育となる。
次に、高校教師に、家庭内で身につけてほしい金融リテラシーは何かを聞いてみると、「お金の大切さを理解すること」(52.4%)と回答した人が最も多くなった。次いで「自分のお金を管理できるようになること」(50.4%)、「お金を無駄遣いしなくなること」(47.2%)だった。
高校生の親に、家庭内での金融教育の実施について尋ねてみると「実施している」と回答したのはわずか16.9%にとどまった。家庭内の金融教育についての悩みは、「自分の金融に関する知識が不足していること」が21.9%、「どこから教えて良いのか分からないこと」18.1%、「自分の知識が誤っていないか不安なこと」が16.8%だった。
いまの子供たちは将来に明るい希望がもちづらくなっているとの指摘がある。金融にはその機能の1つとして「現在と将来をつなぐ」働きがあり、金融教育にも「将来」を意識した様々な内容が含まれている。将来を考える上で特に大事なことは、子供たちが内発的な意欲をもって未来に夢を紡ぐことができるかどうかである。その意味で金融教育が重視する体験的な学習の意義は大きい。子供たちは体験学習の中で、実感や感動、新鮮な気付きや達成感、新たな意欲や関心に出会う。そして幅広い人々や現実との触れ合いの中で、それぞれの感性や志向をもとに、他と自分を比較するのではなく、自分自身の、自分にしかない夢や未来を見いだす機会を得る。これは必ずしも学力や評価と直接結び付くものではないが、子供たちの将来にとってかけがえのない成長の種を提供する。そして、それが結果としては教科等の学習により積極的に取り組む動機付けを与えることになる。